30歳を目前にして、今の仕事に不満しか感じないので転職を考えたけど具体的にやりたいこともないし、どうしたらいいのかわからないのでこの本を読んでみました。
この本は、youtubeなどで色々な人が紹介しているので知っている人は多いと思いますが、自分が読んで感じた内容や大切だと思うことを紹介していきます。
特に自分と同じで転職に悩んでいる人におすすめですが、今の仕事に何も不満を持ってない人にも今後のことを考え直すいい機会になると思うので、是非とも読んでいただきたいと思います。
転職の思考法とは、転職するにあたって必要なものは知識や情報ではなく、どう選べばいいかの判断基準のことです。
目次
内容
本書は、普通のビジネス書と違い一般サラリーマンの青野という主人公がコンサルティング業を行っている黒岩と出会い様々な転職の思考法を学んでいくストーリー仕立ての内容になっています。普段ビジネス書を読まない自分にとっては楽に読み進められることができました。
この本の中で一番伝えたい内容は、「いつでも転職できるような人間が、それでも転職しない会社が最強」なんだということです。そのために必要な、「いつでも転職できる状態」を作る方法がこの本には書いてあります。
マーケットバリュー(市場価値)について
転職の思考法の中で一番重要なことは、自分の「マーケットバリュー(市場価値)」という考え方です。マーケットバリューは自分を商品に例えるとわかりやすいです。
簡単に説明すると、マーケットバリューが高い人ほど給料が高くなり、好きな時に会社を辞め、好きな会社で働くことができるのです。
とはいえ、自分のマーケットバリューなんて知らない人が多いと思うのでこの次の項目で説明していきます。
マーケットバリューの構成
マーケットバリューには以下の3つの要素を箱で表したときの大きさで決まります。
- 技術資産
- 人的資産
- 業界の生産性
この箱が大きければマーケットバリューが高く、仮に今自分の勤めてる会社がなくなったとしても、他の会社が欲しがる人材になります。
1.技術資産
技術資産とは主に「専門性」と「経験」で成り立っています。
専門性
専門性とは職種に近いもので、営業、マーケティング、プログラミング、デザイン、経理など
経験
経験とは、職種に紐づかないもののことで、リーダー経験や企画の仕事にあたり、もし他の業界で生かせないなら経験にはならないと書かれています。
2.人的資産
人脈のこと、若いうちはそこまで必要ではないが歳をとるにつれ重要になっていく。特に40代以降には必要になってきます。
3.業界の生産性
給料の期待値を大きく占める部分。
例えば、コンサルや金融の仕事は比較的給料が高いが、ウェディング業界などは激務の割には給料が低いことから業界の生産性は給料に影響する。
また、マーケットバリュー3つの中でも一番影響するのは「業界の生産性」です。
技術資産も人的資産もない人は、「業界の生産性」が高い業界かこれから伸びる業界などを選ぶべきだと本書では言っています。
マーケットバリューの高め方
マーケットバリューがどういうものか説明しましたが、技術資産も人的資産もない人は生産性が高い業界かエスカレーターが上を向いている業界を選べとかいてあります。
才能が安定して高い給料をもらい続けられる人間は生産性が高い業界に入っている人。この業界は競争は激しいが一度入ってしまえばあとは同じスキルでも他の業界の人より高い給料がもらえるからです。
エスカレーターが上を向いている業界については、その業界が伸びているかいないかで判断します。
逆に生産性が低く、成長が見込めない産業で働くことはマーケットバリューを高められません。
仕事のライフサイクル
エスカレーターが上を向いているかどうかを予測するには「仕事のライフサイクル」という、フレームワークを使用します。すべての仕事はこのライフサイクルに沿って生まれて消えていきます。ライフサイクルは「代替可能性」と「イスの数」の二軸で考えられます。
①ニッチ→始める人。他にやっている人が少ないので代替可能性は低いく、イスの数が少ない
②スター→儲かることに目をつけてどんどん同じ仕事をする人が増えてくる。会社は仕事のプロセスを分解して、再現性を高くする。
③ルーティンワーク→誰でもできる状態にプロセスが汎用化され、一気に代替可能性が高まった状態
④消滅→③の「代替可能な人を大量に雇っている状態」を嫌った会社がテクノロジーにより人を代替しイスの数が激減する。1社だけでなく業界全体が利益を減らしていく。
例えば、印刷機器の法人向け新規開拓営業なら
・印刷機器(業界)③×法人向け新規開拓営業③というように業界と仕事が③のルーティンワークのポジションのためエスカレーターの下向きの産業となり、①や②であればエスカレーターが上を向いている業界となります。
伸びている業界で働くだけでバリューは高まる
2010年から5年にかけてスマホゲームが爆発的にのびた。この時に、この産業で働いた経験は大きな「技術資産」になります。なぜなら、経験者を雇いたいと追随する会社がたくさんあったからです。
逆に衰退産業の場合は、社内でも人件費への投資を抑えてイスの数が減っていき、周りの市場も飽和状態で同じく縮小していくのでマーケットバリューの価値が減っていきます。
ほとんどの人に、「やりたいこと」は必要ない
本書では、人には2種類の人がいると書かれています。
1.todo型の人
まず初めにtodo型の人の紹介です。
この型の人は「何をするかに」重きをおく人。例えば世の中に革新的な商品を残すことであったり、会社を大きくするといった「何をするか」で、物事を考える明確な目標や夢を持っている人のことです。
2.being型の人
そして、2つ目のに紹介するのがbeing型です。
「状態」に重きをおく人。どんな人でありたいか、どんな状態でいたいかを重視する人。そして99%がこのbeing型に属します。
being型の人は世の中の1%しかいないtodo型の成功哲学から「心からやりたいこと」を探しますが、両者の成功論はそもそも違うため、やりたいことが見つからず彷徨ってしまいます。しかし、being型の人がやりたいことを見つけられなくても悲観する必要はありません。
being型の人にとって重要なことは、「やりたいこと」より「状態」だからです。
being型の人にとって重要な2つの状態
being型に必要な「状態」を本書では、仕事をドラクエとかFFのようなRPGに例えて説明しています。
1.自分の状態
主人公である自分が今いる環境に対して適切な強さになっていることです。
多くの人間は勉強や運動、仕事などで多かれ少なかれ何かしらの努力を積み重ねています。そして常に倒せそうで倒せないような環境を経て成長しています。
仕事に当てはめると、強さとはマーケットバリューのことになります。仕事を楽しむためには、「マーケットバリューがある程度高いこと」と「求められるパフォーマンスがマーケットバリューと釣り合っていること」が必要条件になっています。
もう一つは、自分を信じることです。
ゲームに例えると、いくらレベル(マーケットバリュー)を高めて強くなったとしても、主人公の自分を好きでなければそのゲーム(仕事)を楽しむことができないといった内容です。
2.環境の状態
環境の状態とは「緊張と緩和のバランス」です。
これはRPGをやっているひとなら経験があると思いますが、ザコ戦とボス戦の繰り返しのことです。極端にしてしまうと、弱い敵だけどと飽きを感じるし、強い敵ばかりだと人間は疲れてしまいます。仕事でも同じことが言えます。
緊張とバランスが適切か見極める方法
仕事での緊張とバランスが適切か見極める方法は、ここ半年間で感じた強い緊張を書き出してみることです。そして緊張を感じたことを良い緊張と悪い緊張で分けます。
- 悪い緊張が10以上ある場合→職場を変えたほうがいい
- いい緊張が3つ未満の場合→より難しいことや、やったことのないことへ挑戦したほうがいい
緊張の「良い」「悪い」の判断は主観で問題ありません。
being型の人間が好きなことを見つける方法
being型の人でもある程度の好きなことは見つけられます。
1.他の人から上手だと言われているが「自分ではピンとこないもの」から探す方法
人はできることより、できないことに目が行きやすいので、他の人から褒められるが、自分ではピンとこないことを意識して探すといったやり方です。本人にとって自然にできてしまうため、自分では本当のすごさに気づかないからです。
2.普段の仕事の中で「まったくストレスに感じないことから探す」
例えると、毎日新しい人と会うのが全く苦にならないことや、静かなところでメールを淡々と書くなど仕事の中で、自分が自然体になれる瞬間を探すことです。
僕の場合は、長時間PCに向かってブログを書くことはあまりストレスだと感じることはないので、これにあたると思います。
自分にラベルを貼り、コモディティから脱出せよ
本書では、これからの時代は「ラベル」を持っている人が強いと書いてあります。
「ラベル」とは、自分だけのキャッチコピーのようなもので、組織が個人を守っていく時代が終わり、いつ会社から放り出されるかわからない中で、一つでも「ラベル」を持っていないとコモディティになると紹介されています。
ここでいうコモディティは「いくらでも替えがきく存在」のことです。
「ラベル」は人に見せるものではないので、どんなにダサくても質にこだわらなくてもいいので自分にキャッチコピーをつける。最初は、「やりたいこと」などの今できないことなどの理想でも嘘でいいのでラベルをつけて、そのラベルが強固になるかで仕事を選ぶことを判断軸にしましょう。
感想
この本のおかげで、どういったことを基準に転職先を考えればいいのか理解できました。
ただ、伸びている業界については市場のサイクルが早すぎてこの本に書いてあること全てが正しいかはわかりません。
また、僕もbeing型なので本当にやりたいことを探して転職活動をしていましたが、そもそもやりたいことがなく苦労していました。この本では、being型の人がどういう人なのか紹介されているのでその部分を読んだだけでも読んでよかったと思います。
このブログで説明できていないところもたくさんあるので、もし転職に迷われている人やサラリーマンの人には、是非手に取って読んでもらいたいと思える1冊でした。
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